薪から出る虫について
2020/10/14
自然乾燥の薪はカミキリムシやカメムシ、サシガメなど様々な虫がついていることがあります。また、薪にはカミキリムシなどの卵が産みつけられていることが多く、冬の間は卵からかえった幼虫が薪を食べて過ごします。春先になると早い成虫が薪から出てきます。カメムシやサシガメなどは越冬する際に薪と薪の隙間に入り込んでいます。
カミキリムシ発生のピークは地域差がありますが、本州の寒冷でない場所で5月~7月上旬頃です。体長1.5cm~3cm程度の成虫をよく見かけるようになります。中にはウジャウジャ出てくる薪もあります。虫食いの薪は木粉がとめどなく落ちたり、樹皮がポロっと剥がれます。
出てくるタイミングは同じ木であればほぼ同時に出てきます。2、3日ほどで同じ薪棚に積んでいる薪からは出尽くしてしまいます。一度にものすごい数の虫が出てくるのを目の当たりにすると相当驚いてしまいます。飲食店様などは春から初夏にかけては備蓄を減らしたり、ストックする場所を変えたり工夫をして頂く必要があります。
中から出てくる虫を防ぐことはできませんので、出てきた虫を駆除することが妥当な対策になります。屋内やシャッター付きガレージなど、成虫が飛んでいけない場所だと虫だらけになりますから、春先以降はそのような場所での保管は避けるか、薪を使い切るように心がけてください。屋外軒先などでは、虫が出てきてもどこかに飛んでいなくなります。薪から出てきた成虫が木造家屋をかじって被害を出すようなことはありません。
中に虫が居る薪をあらかじめ特定することは困難です。薪をかじる音がしますが、積み上げた薪から音がする個体を選び出すことはかなり難しいです。従いまして、どの薪からも虫が出る可能性があるということを念頭に保管、管理されると良いでしょう。
人工乾燥した薪の場合
乾燥過程で人工乾燥を取り入れた場合、虫の発生はほぼ無くなります。
※全く無いとは言い切れませんが、ほぼ無いと言えます。
一般的な人工乾燥は、乾燥機の中で蒸気で蒸し、設定した高温時間中除湿をすることで薪の内部の水分を強制的に抜く方法がポピュラーです。これは住宅用の木材を人工乾燥する方法と同じで、木材用乾燥機を薪に応用しています。
人工乾燥の高温下では薪の中に潜む幼虫や卵は生き残れないのでしょう。乾燥コンディションを上げる目的が、虫対策にも有効で一石二鳥となります。但し、人工乾燥した薪は自然乾燥の薪よりも高価になり、保管している内に大気中の水分を吸うことで乾燥機から出した直後よりも含水率が上がってしまう場合があります。
飲食店での利用やディスプレイ用として虫が発生すると困る環境では人工乾燥品を使うのも方法のひとつです。
薪クラブでは人工乾燥薪のご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。